【ひとり勉強会1】浸透圧の問題(生理)
こんにちは.
先日から大学のテスト勉強の合間にちょくちょくと
生理の勉強を進めております.
「Board Review Series Physiology 6th edition」
を教科書として使っているのですが,
ついこないだ【Chapter1 Cell Physiology】を読み終えたので
章末問題の中でも間違えた問題,難しかった問題を
自分の復習用に掲載していきます.
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In a hospital error, a 60-year-old woman is infused with large volumes of a solution
that causes lysis of her red blood cells (RBCs). The solution was most likely
(A) 150mM NaCl
(B) 300mM mannitol
(C) 350mM mannitol
(D) 300mM urea
(E) 150mM CaCl₂
(Board Review Series Physiology 6th edition p.24 -- Chapter 1 Review Test No.9)
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問題文自体は簡単だと思うんです.
強いて言うなら lysis:溶解 ぐらいが単語としては微妙かと.
僕はlysisの意味を知りませんでしたが、
浸透圧の問題で赤血球が出てきた時点で
「あ、溶血のことか」
とわかりました。
溶血は赤血球を低張液に浸したときに起こるので,
(A)から(E)のモル浸透圧濃度(=osmolarity)を計算して、
等張液(0.9%食塩水)のモル浸透圧濃度と比較すればおしまいです.
等張液のモル浸透圧濃度は308 Osm/Lになります.
おそらくこの問題では300 Osm/L とするのでしょう。
(A)~(E)のモル浸透圧濃度を計算すると
(A)300 Osm/L (B)300 Osm/L (C)350 Osm/L (D)300 Osm/L (E)450 Osm/L
です。
とここで「ん?」と思うわけです。
低張液(=hypotonic)が無いんですね・・・
実はここでそれぞれの物質自身の膜透過性について
考える必要があるわけです.
この教科書では 「Reflection coefficient: 反射係数」
という言葉で紹介されています.
実はGoogleで「反射係数 生理」と調べても、
適当なページが出てこないので、
あまり日本ではなじみの無い言葉なのだと思います。
(実際僕も学校で習った言葉ではありません)
反射係数の意味は簡単で、教科書にはこう書いてあります。
Refrection coefficient between zero and one that describes
the ease with which a solute permeates a membrane/
つまり、膜を完全に透過するものの反射係数を1、
膜を透過しないものの反射係数を0として、
膜の透過しやすさを0~1の数字で表す
といったところです。
反射係数を考慮にいれた浸透圧のことを
「effective osmotic pressure」というそうで、
通常の浸透圧(ファントホッフの式から求められるやつ)
に反射係数をかけることによって求めるとのことです。
で、実は尿素(urea)の反射係数は0なんですね・・・
つまり、effective osmotic pressureを計算すれば
(D)の浸透圧は0になります.
ということで正解は(D)だったわけです。
たぶん尿素が膜を透過することを知っていれば
できた問題だったのでしょう・・・
(腎臓の生理で習った気もするんですが,忘れてましたね)
それにしてもを問題設定にあるように
尿素を患者さんに間違って投与することなんてあるんですかね・・・
では、この辺で。